大人の発達障害

大人の発達障害

 大人の発達障害(神経発達症)とは、生まれながら脳の働き方の違いによってコミュニケーション能力や対人関係など日常生活に困難が生じる状態です。大人になってから発達障害になるわけではありません。発達障害の特性は幼児から中学校卒業までの間に現れますが、子どもの頃であれば「子どもだから仕方がない」、「落ち着きがない」など、その特性を個性として捉えられたり、周囲のサポートによって本人も周囲の人も発達障害だと気づかない場合があります。しかし、大人になり、社会に出ると様々な人たちと関わり、コミュニケーションを図っていきます。相手の表情からやるべきことを察したり、周囲に合わせて行動したり、仕事を計画的に進行するなど社会性が求められます。このような時に潜在的に持っていた発達障害の特性が浮かび上がってきて、人間関係や仕事でつまずいてしまい、「いい加減」、「やる気がない」、「空気が読めない」といった評価に変わってしまい悩む人が多くいます。

発達障害の種類・症状・特性

 発達障害は主に自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、限局性学習症(SLD)の3つがあります。

①自閉スペクトラム症(ASD)

人とのコミュニケーションにおいて、言葉や視線、表情や身振りなどによるやり取りが苦手、自分の気持ちを相手に伝えること、相手の気持ちを読み取ることが難しいなどの特性があります。一方で、特定の分野で強い関心やこだわりを持っているなど感覚の過敏さを持ち合わせているのも特性です。日常生活に限らず、職場で仕事を臨機応変に対応できなかったり、周囲の人と異なる言動によって「空気が読めない」と言われるなど悩みやトラブルを招くことも多いでしょう。それが進行すると不安やうつ病など二次障害に繋がる可能性があるので周りに相談するなど注意しましょう。ASDは自閉症、アスペルガー症候群、小児期崩壊性障害、レット症候群、不特定の広汎性発達障害の5つを総称しており、2013年以降は正式な診断名とは使われていません。ASDの原因は解明されていませんが、脳の神経伝達物質に異常があり、脳機能に障害が起こり、認知や行動に偏りが生じるのではないかと考えられています。

▣ASDチェック項目

□言動や視線、表情や身振りなど他人とのコミュニケーションが苦手

□他人に対する興味が薄く、相手の気持ちや状況を理解することが苦手

□グループでの業務や活動が苦手

□伝えたいことを言葉にまとめることが難しい

□特定の分野で強い関心がある、こだわりが強い

□悪気はないのに言動により相手を怒らせてしまう

□相手と会話が噛み合わない

□音、光、匂い、味などに感覚過敏である

□曖昧な指示の仕事に対応できない

□臨機応変な対応ができない

□複数の業務を並行できない

□自分のルール、やり方に固執してしまう

□興味のある分野において夢中になって話す などが挙げられます。

②注意欠如・多動症(ADHD)

子どもの頃は落ち着きがない、待つことができないなど多動性が目立ちやすい。大人になるにつれ不注意でミスをしやすいなどの特性が現れます。感情のコントロールが苦手で、職場や家庭内での衝動的な暴言や暴力を与えてしまうことがあります。一方で、好きなことには過度に集中し、のめり込む傾向があるため、ギャンブル、アルコール、薬物依存症が多いともいわれています。原因の多くは脳機能の発達に何らかの機能異常があり、神経伝達物質のドーパミンやノンアドレナリンの働きが不足しているからといわれています。

▣ADHDチェック項目

□落ち着きがない、待つことができない

□注意欠如により、ミスを生じやすい

□職場内、家庭内での暴言、暴力を与える

□興味のある分野では高い集中力を発揮する

□さまざまな考えが浮かびやすく、アイデアを豊富に出せる

□人とのコミュニケーションが得意

□行動力や決断力がある

□整理整頓が苦手

□忘れ物や落とし物が多い

□頼まれていた仕事を忘れる

□スケジュール管理が苦手

□遅刻が多い

□人が話している間に発言する などが挙げられます。

③限局性学習症(SLD)

これまでは学習障害(LD)が広く知られていましたが、アメリカ精神医学会が出している診断マニュアルが改訂されたことにより、近年はSLDが一般的になっています。「聞く」、「話す」、「読む」、「書く」、「計算する」の5つすべてに困難があるのではなく、認知能力や聞いたこと、見たものを処理する能力に凸凹があり、結果として読み、書き、計算の一部に困難がある場合が多いです。原因は脳の中枢神経系の機能障害だといわれていますが、明確に分かっていません。

▣SLDチェック項目

□段取りや理解が悪く仕事が終わらない

□仕事や手順が覚えられない

□数字や計算が苦手

□読んで意味を理解することが難しい

□周りは理解できているのに、自分は理解ができない

□電話応対や接客の場面で適切な言葉が見つからず黙ってしまう

□話しがうまくまとめられず、企画案やレポート作成ができない などが挙げられます。

自分が発達障害だと気づいたら?

 自分自身が一番の理解者となり、生まれ持った特性をハンデと捉えず、強みとして捉えましょう。生まれ持った特性を努力して直すことは難しいため、自分が苦手なことを認識し、どのように克服していくのかが大切です。例えば、約束の時間に遅れてしまうのが心配であれば、「事前の準備やメモにして確認する」、出発時間を早める意識をする。不注意で忘れがちなら「必ずメモを取る癖」、空気を読むのが苦手な場合は自分を理解してくれる人と話すなど無理をして合わせる必要はありません。発達障害の特性は、環境によって欠点になることもあれば、長所に傾くこともあります。苦手なことを工夫するだけで気持ちが楽になったり、得意なことで大きな力を発揮する人もいます。どうしても家族や友人、同僚などに説明しても理解が得られず、孤独感やストレスを感じる場合は、自治体や企業が行っている就労支援や相談窓口を利用してみるのも良いでしょう。また、心療内科での受診、薬局や薬店などで相談することで、適切な治療やアドバイスが受けられます。症状を客観的に見つめ直せるため、自己管理力が身につき、生きづらさの解消にも繋がります。

発達障害がある人への接し方

 発達障害の特性は人それぞれ違います。家族、職場の同僚、本人を良く知る人などと一緒にその人が得意なこと、強み、苦手なこと、どんなサポートが必要なのかを考え、その人に合わせた対応が必要です。例えば、自閉スペクトラム症(ASD)の人には、できる限りシンプルな伝え方や簡単な手順を実演して見せたりすることが効果的です。注意欠如・多動症(ADHD)の人には、何かを伝えたいことがある時は、短く簡潔な言葉で説明や指示をするように心がけましょう。学習障害(SLD)の人には、得意な部分は情報の理解や表現方法を積極的に活用しつつ、苦手なところは課題の量や質を適度に加減しながら、ゆっくりと学習できるように配慮すると良いでしょう。

まとめ

 大人の発達障害は自己評価の低い人が多く、大きな目標を掲げても挫折や失敗しやすいため、目標に到達するまでの手順を細分化し、小さな成功体験を積み重ねていきましょう。成功を体験するたびに喜び、その体験を繰り返すことが自信に繋がっていきます。自身の特性を理解した上で、少し工夫する、入念に準備をする、その特性を周囲に伝えて支援を受けることで気持ちが楽になります。また自分らしい生き方を見つけて社会生活を送ることもできます。一歩行動を起こすことが次のステップに繋がります。

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