扁桃腺について知っておこう!

扁桃腺について知っておこう!

「扁桃腺(へんとうせん)」とは、正式に「扁桃」と呼び、私たちの喉を守る重要な免疫組織です。
喉の奥にあり、細菌やウイルスが体内に侵入するのを防ぐ「防波堤」のような役割を果たしています。
扁桃腺というと、一箇所をイメージされる方が多いですが、実は扁桃腺は4つの部位からなっています。
すなわち、扁桃腺には

アデノイド(咽頭扁桃(いんとうへんとう))
耳管扁桃(じかんへんとう)
口蓋扁桃(こうがいへんとう)
舌根扁桃(ぜっこんへんとう)
の4つがあり、これらを総称して扁桃腺といいます。
このうち医療機関で口を開けて、腫れていないかを見てもらうのは口蓋扁桃です。
他のものは奥にあるので口を開けた状態では観察することはできません。


アデノイド

アデノイド(咽頭扁桃)とは、鼻の奥の突き当たり(喉との境目)にあるリンパ組織の塊のことです。

一般的に「扁桃腺(口蓋扁桃)」と呼ばれるものは口を開けた時に左右に見える組織ですが、アデノイドはさらに奥の上方に位置しているため、鏡などで直接見ることはできません。

1. 主な役割

アデノイドは、口や鼻から侵入してくる細菌やウイルスを捕まえ、体に免疫を作るための「防波堤」のような役割を果たしています。

免疫機能: 子供の免疫系が未発達な時期に、感染症から体を守ります。

成長による変化: 2〜6歳頃に最も大きくなり、その後は免疫機能が他の組織で補われるようになるため、10歳を過ぎる頃から自然に小さくなり、大人になる頃にはほとんど消失します。

2. アデノイド肥大とは

アデノイドが通常よりも大きくなりすぎた状態を「アデノイド肥大(またはアデノイド増殖症)」と呼びます。大きくなったアデノイドが鼻の通り道や耳につながる管(耳管)を塞いでしまうことで、さまざまな不調を引き起こします。

主な症状

鼻の症状: 慢性的な鼻づまり、口呼吸(いつも口が開いている)、鼻声。

睡眠の症状: いびき、睡眠時無呼吸(寝ている間に呼吸が止まる)。

耳の症状: 滲出性(しんしゅつせい)中耳炎、難聴(耳管が圧迫されるため)。

顔立ちの変化: 長期間の口呼吸により、顔が細長く、上顎が突き出したような独特の顔立ち(アデノイド顔貌)になることがあります

耳管扁桃(じかんへんとう)

耳管扁桃(じかんへんとう)とは、鼻の奥にある「耳管(じかん)」という耳と喉をつなぐ管の入り口付近にあるリンパ組織のことです。

アデノイド(咽頭扁桃)のすぐ隣に位置しており、喉の周りをぐるっと囲む免疫組織のネットワークである「ワルダイエルの咽頭輪(いんとうりん)」を構成するパーツの一つです。

1. 場所と役割

場所: 鼻の突き当たり(上咽頭)の両サイドにあります。中耳(耳の奥)と喉をつなぐ「耳管」が開口している場所に位置しています。

役割: アデノイドや口蓋扁桃(いわゆる扁桃腺)と同様に、鼻や口から入ってきた細菌・ウイルスを食い止める「免疫の関所」として働きます。

2. 耳管扁桃が腫れるとどうなる?

耳管扁桃が炎症を起こしたり肥大したりすると、すぐ横にある耳管の入り口を塞いでしまうことがあります。その結果、以下のような症状が出やすくなります。

耳の詰まった感じ: 耳管が狭くなるため、耳抜きがうまくいかず、耳がこもった感じ(耳閉感)がします。

滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん): 耳管の通りが悪くなると、中耳に液体が溜まりやすくなり、難聴の原因になります。

鼻の奥の違和感: 鼻づまりや、喉の奥に何かが張り付いているような感覚が出ることがあります。

口蓋扁桃(こうがいへんとう)

口蓋扁桃(こうがいへんとう)とは、口を大きく開けたときに、のどの奥の左右に見える「こぶ」のようなリンパ組織のことです。一般的に「扁桃腺(へんとうせん)」と呼ばれているのは、この口蓋扁桃を指します。

前回お話ししたアデノイド(鼻の奥)や耳管扁桃(耳への管の入り口)と同じく、のどの免疫ネットワークを構成する重要な組織です。

1. 主な役割

免疫の門番: 口から入ってくる細菌やウイルスをキャッチし、体内に侵入するのを防ぐ「最初の防波堤」です。

抗体の産生: 病原体の情報を記憶し、それに対抗するための免疫反応をサポートします。

成長に伴う変化: 5歳〜7歳頃に大きさがピークを迎え、その後は徐々に小さくなるのが一般的です。

2. よくあるトラブル

口蓋扁桃は直接見える場所にあるため、トラブルが起きると自覚症状が出やすいのが特徴です。

急性扁桃炎: 細菌やウイルスに感染して赤く腫れ、強い痛みや高熱(38〜40度)が出ます。表面に白い膿(白斑)がつくこともあります。

扁桃肥大: 扁桃が通常より大きすぎる状態です。炎症がなくても、大きすぎると空気の通り道を塞ぎ、いびきや睡眠時無呼吸症候群の原因になります。

膿栓(のうせん): 扁桃にある小さな穴(陰窩)に、細菌の死骸や食べかすが溜まって白い塊ができることがあります。通称「臭い玉」とも呼ばれ、口臭の原因になることがあります。

舌根扁桃(ぜっこんへんとう)

舌根扁桃(ぜっこんへんとう)とは、舌の付け根(奥の方)の表面にあるリンパ組織のことです。

これまでに説明したアデノイド、耳管扁桃、口蓋扁桃(扁桃腺)と合わせて、のどを一周囲むように配置されており、総称して「ワルダイエルの咽頭輪(いんとうりん)」と呼ばれます。舌根扁桃はその「底」の部分を担っています。

1. 場所と特徴

場所: 舌の奥3分の1くらいの場所にあり、喉頭(のど仏のあたり)のすぐ手前に位置しています。

見え方: 普通に口を開けただけでは見えませんが、耳鼻科で内視鏡(ファイバー)などを使うと、デコボコとした組織として確認できます。

役割: 他の扁桃と同じく、口から入ってくる細菌やウイルスに対する免疫の役割を果たします。

2. 舌根扁桃のトラブル

他の扁桃に比べて話題に上ることは少ないですが、以下のような問題が起こることがあります。

舌根扁桃炎: ここに炎症が起きると、のどの奥の強い痛み、飲み込みにくさ、高熱が出ます。口蓋扁桃(一般的な扁桃腺)をすでに手術で摘出した人が、代わりにここを腫らして高熱を出すこともあります。

舌根扁桃肥大: ここが大きくなりすぎると、喉の異物感(何かが詰まっている感じ)や、横になった時に気道を塞いでいびきや睡眠時無呼吸症候群の原因になることがあります。

口臭: 組織の隙間に汚れ(膿栓)が溜まり、口臭の元になることがあります。

のど扁桃まとめ

   名称             場所         主なトラブル

アデノイド(咽頭扁桃)       鼻の奥        鼻づまり、口呼吸

耳管扁桃            耳への管の横      耳の詰まり、中耳炎

口蓋扁桃(扁桃腺)        のどの左右        喉の痛み、高熱

舌根扁桃(舌扁桃)        舌の付け根     喉の異物感、無呼吸、隠れた炎症

扁桃炎について

扁桃炎(へんとうえん)とは、のどの奥にある「口蓋扁桃(こうがいへんとう)」が、細菌やウイルスの感染によって炎症を起こし、赤く腫れた状態のことです。

これまでに見てきたアデノイドや耳管扁桃などの「リンパ組織の防波堤」のうち、もっとも目立つ「扁桃腺」が攻撃を受けて熱を出している状態といえます。

 

1. 主な症状

風邪と似ていますが、のどの痛みがより強く、全身症状が出やすいのが特徴です。

強いのどの痛み: つばを飲み込むのも辛いほど痛むことがあります。

高熱: 38度〜40度近い急な発熱。

扁桃の腫れ・膿: 扁桃が真っ赤に腫れ、表面に白いカスのよう膿(白斑)がつくことがあります。

首の腫れ: 顎の下や首のリンパ節が腫れて、触ると痛みます。

 

2. 原因:ウイルスか細菌か

原因によって、治療法が大きく異なります。

ウイルス性(約70〜90%): アデノウイルスやEBウイルス、風邪のウイルスなど。抗生剤は効かないため、安静にして免疫で治す「対症療法」が中心です。

細菌性: 溶連菌(ようれんきん)などが代表。こちらは放置すると心臓や腎臓に影響が出るリスクがあるため、抗生剤をしっかり飲み切ることが重要です。

 

3. 放置するとどうなる?

ただののど風邪だと思って放置すると、以下のように重症化することがあります。

扁桃周囲膿瘍(のうよう): 扁桃の周りに膿が溜まり、口が開かなくなったり、呼吸が苦しくなったりします。切開して膿を出す処置が必要になることもあります。

他の臓器への影響: 溶連菌などが原因の場合、後から腎炎(IgA腎症)やリウマチ熱などを引き起こすことがあります。

 

4. 種類と治療の考え方

種類特徴

急性扁桃炎突然の発症。しっかり休めば1週間程度で治ります。

反復性・習慣性扁桃炎年に4〜5回以上繰り返す状態。手術(摘出)を検討する目安になります。

慢性扁桃炎炎症がずっと続き、のどの違和感や微熱が長引く状態です。

 

💡 アドバイス

扁桃炎は「他人にうつる」可能性があります。原因となる菌やウイルスは、飛沫(せき、くしゃみ)や接触で広がるため、家族にうつさないようタオルを分けたり、手洗いを徹底したりするのが大切です。

もし今、のどの痛みや熱がある場合は、以下のような症状がないか確認してみてください。

水も飲み込めないほど痛い

口が開きにくい

声がこもっている(熱いポテトを口に含んだような声)

これらに当てはまる場合は、すぐに耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。

扁桃炎以外の病気と特徴

「扁桃腺(口蓋扁桃)」に関わる病気は、単なる炎症だけでなく、肥大による呼吸への影響や、周囲に膿が溜まる重篤なものまでいくつかあります。

主な病気とその特徴を整理しました。

 

1. 炎症に関する病気

急性扁桃炎: 細菌やウイルスにより、扁桃腺が赤く腫れ、高熱とのどの強い痛みが出ます。

慢性扁桃炎: 急性扁桃炎を年に何度も繰り返す(習慣性扁桃炎)、あるいは微熱やのどの違和感が数ヶ月続く状態です。

扁桃周囲膿瘍(のうよう): 扁桃炎が悪化し、扁桃の周りに膿が溜まった状態です。のどの激痛でつばも飲み込めず、口が開きにくくなることもあり、早急に膿を出す処置が必要です。

 

2. 形や大きさに関する病気

扁桃肥大: 扁桃腺が通常より大きい状態です。

影響: いびき、睡眠時無呼吸症候群、飲み込みにくさ、食事に時間がかかる、といった問題が起こります。

膿栓(のうせん): 扁桃にある小さな穴に、細菌の死骸などが溜まって白い塊ができるもの。いわゆる「臭い玉」で、病気ではありませんが、口臭や異物感の原因になります。

 

3. 全身に影響を及ぼす病気

扁桃病巣(びょうそう)感染症: 扁桃腺そのものの症状は軽いのに、そこにある菌や免疫反応が原因で、離れた臓器に病気を引き起こす状態です。

代表例: IgA腎症(腎臓の病気)、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう:手のひらや足の裏に膿の袋ができる皮膚病)など。この場合、根本治療として扁桃腺を摘出することがあります。

 

4. その他の病気(腫瘍など)

乳頭腫(にゅうとうしゅ): ウイルス感染などが原因でできる、良性のイボのような腫瘍です。

悪性腫瘍(扁桃がん・悪性リンパ腫): 扁桃腺にできるがんです。「片側だけが急激に大きくなる」「痛くないのに腫れている」といった場合は注意が必要で、早めの検査が推奨されます。

 

⚠️ 注意すべきサイン

以下の症状がある場合は、ただの風邪と思わず、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。

片側だけが明らかに大きく腫れている

のどの痛みで口が開けられない

痛みが強く、水分が全く取れない

いびきがひどく、寝ている間に呼吸が止まっている

 

まとめ

皆さんが知っている「扁桃腺」にもいろいろな部位があり役割を持っていることが分かりましたね。

今後、喉に違和感を感じた時は、軽度な症状から重度な症状まで様々ですので必ず病院で診察して適切な処理をいたしましょう。

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夢健究会

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